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塔の町、あたしたちの街 評価 4/10 才能はあるけど荒い作品

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 誤解がないように先に言っておくと、この作品の点数である4点という点数はひどい作品であるから、4点という事ではない。ある一定の水準を超えた良い作品だとは思うのだが、いくつかの点で荒削りすぎて良くない場所があるので、本来あるべき姿からは遠いという意味の相対的な点数であって、絶対的にダメな作品という意味ではない。そういう作品には5点を付けることがむしろ多い。

 では、なにかというとこの作品自体は全般的に淡くて繊細で、まだ青年期の少年少女独特の内にこもる気持ちと外に伸びようという気持ちが描かれていて美しい。しかし、本に使われているオビと最初の数ページと、その後に続く内容が一致していない。そのため、この本を手に取るべき読者が手に取らず、違う内容を期待した読者が手に取ってしまう可能性がある。そのため4点とした。

冒険物というよりは学園物

 オビのアオリが『力には責任が伴う。いつか-使わなくちゃならない時がくるよ。』という物であり、この小説の最初の4Pが異能力で凡兵をなぎ倒そうとする天才少女の半ば暴力的なシーンであった。
 この2つから読者が買う前に書店でかるくこの本を眺めたとして、どんな内容だと想像して買うだろうか? 少なくとも私には、血わき肉躍る冒険物かと想像していた。
 しかし、実際の所、どうやらその冒険は次巻以降というかストーリ全体のテーマらしくこの巻とは非常に関係性の薄い話であった。
 この巻自体は、旅立ちの章以前の話なので比較的学園物である。オビに使われている言葉も本の最中ではなく、最後に今後を示唆して言われた言葉であり明らかに次巻以後の話である。それを今回のオビにされても・・・。
 表紙絵をとっても武器を取っている少女が後ろに立っており、困惑する少女とセットで躍動感ある作品風なイメージを受けたがそうではない。
 正直な話、物語自体は悪くはなかった。ただ、想像と違ったので最初の100Pぐらいは、いつ冒険が始まるのだろうと、ワクワクして、だんだん、ワクワクに疲れて、読むのをヤメテ捨てようかと思ったくらいである。人は期待をして想像して、待つ生き物である。せっかくおもしろいのに、読者が最初の100Pで期待と違うと読むのをやめてしまったらつまらなくはないだろうか?

 

青年期の少年少女独特の内にこもる気持ちと外に伸びようという気持ちが描かれていて美しい

 この本自体は、親に捨てられて、それでも皆に守られて育った少女と、それを守っている少女のお話である。少女自身は強く生きているが、それでも親がいないと言うことに非常にプレッシャーを感じていて粗暴になったり、弱くなったりしている。
 そんな中、自分の親には特殊な力があって、それを自分も継いでいるかもしれないという事実が発覚し、せっかく安定していた少女の気持ちが大きく揺れ動く。両親に愛してもらいたいという気持ちと、両親を憎む気持ちの間で揺れ動き、いままで守っていてくれた少女との関係もどんどん微妙になっていく。なぜなら、守っていてくれた少女もその力が目当てで守っていてくれたのかもしれないから。不安・・・。

 物語の前半は二人の少女の友愛が描かれている。中盤以降、少女の両親についての話が始まり少女が不安定になる。確かに、少女の力が少女を守る理由の1つであったもう一人との仲もだんだん疎遠になっていく。ついには、私を守りたいんじゃなくて、私の力が守りたかったんだねと少女に思われ離別。最後のパートでは悪いことに少女の力を使おうとするその男に少女がさらわれてしまい、それをもう一人の少女が助けても良いのかと悩み・・・そしてエンディングへと向かう。

 全体的に、冒険活劇のようにドーン・バーンといった強烈な作品ではないが、淡い作風の仲に青年期の少年少女独特の内にこもる気持ちと外に伸びようという気持ちが描かれていて美しい。
 大人になる課程の中でナーバスになっている少年少女や、若い気持ちを忘れてしまった大人の人にオススメしたい。

 ただし、くれぐれも冒険活劇がメインではないのでお間違いないよう。


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